はてなダイアリーが選ぶ名盤百選

まさかホントにこの日が来るとは、「はてなダイアリーが選ぶ名盤百選」84番目は遅れてきたはてなダイアラーこと、不肖石井が書かせて頂きます。はてなの皆さんこんにちは。よろしくお願いしますよ。



何というか、四半世紀程度でも生きてると人生色々な事があるようで、殊、ほとんど唯一の趣味であるところの音楽に関しも、こんなあたしの心のトビラをノックして、だらしなく開けっぴろげにさせられちゃった衝撃的な出会いや経験というモノがいくつかございます。
例えば、マジで中学生の時に聴いた初めての洋楽レッド・ツェッペリン「狂熱のライブ」(「グッイーブニングッ!」)とか、高校時分に現・吉井ロビンソンが司会をしていたテレビ神奈川の音楽番組で見た東京No.1ソウルセットのライブ、あるいは97年のフジロックフェスティバル、台風の天神山スキー場で見たボアダムス、等々。
それらは、もちろん実際に鳴っている音もそうですが、極々個人的な(けれども強烈な)「体験」として今もあたしの心に残っている訳です。
このソフトマシーン(以下「ソフツ」)の2ndアルバムもそんな「体験」の一つであり、今もって心のベストテン第一位であり、マイ無人島アルバムの座をキーポンし続ける、あたしが愛して止まないレコードです。

ある日、まだギリギリ十代だった頃の私が今は無き厚木ディスクユニオンに行きました。ちょっとした日常です。<プログレッシブロック>箱を掘っているとボロボロのジャケットのソフツの2ndアナログが1000円で。「買ってみっかな、1000円だし。」帰宅後ターンテーブルに乗っけて針を落とします。ブチブチブチ。「やっぱ盤質Bだな。っていうかむしろCとかDだな。ま良っか、1000円だし。」で、針ノイズの向こうからイントロが立ち上がってきます。

(♪〜イントロ〜)
俺「あ〜、何て言うか?牧歌的な?」
(アルファベット数え歌みたいなのが♪〜A、B、C、D、E、F、G〜♪)
俺「んん???」
(咳払い「ン、ンッ」の後うなるファズベース、軽い音で叩きまくるドラム、たたみかけるオルガンとホーンのユニゾン)
俺「!!!」

後は怒濤の展開。めくるめく音の世界。組曲というよりはメドレー、で切れ目無く続く曲。ロバート・ワイアットの素晴らしいボーカル。B面にひっくり返す。奇妙なバランスのジャズロックアンサンブル。何拍子だか分からないけどドラムンベースみたいなドラム。ファズオルガンのノイズ。そしてまた素晴らしいワイアットのボーカル。何だか捉え切れないままB面も終了。そしてまたひっくり返して頭から聴く、、、この、あるレコードなりCDなりを初めて聴いた時の言葉になる前の感情というか、「何だこれ!?何だこれ!?」っていうのがたまらなく好きです。そして繰り返し繰り返し聴く事で咀嚼され、ソフツはあたしの血となり肉となりましたとさ。めでたし、めでたし。、、、じゃないか。
プログレ的には次の3rdアルバムの方が評価されているようですが、私は結局この2ndが一番でした。ワイアットの歌心と、ヒューホッパーのジャズ志向、ラトリッジのプレイヤー志向のバランスが(俺基準で)最も均衡を見せた作品であり、その事が、このロックとジャズがあり得ないバランスでミックスされた、恐ろしく変わった音楽を生み出し得た、という事に畏敬の念さえ覚えます。ポップ音楽史上の奇跡、と勝手に断言してみますよ。
ソフツがあまりに好きすぎたので、ここから色々と拡げていって聴いた盤の数々の中にも大好きなモノが沢山あり、そういう意味でもソフツとの出会いはデカかったです。カンタベリーロックとかブリティッシュ・ジャズ、ヘンリー・カウ〜フレッド・フリスからジョン・ゾーンまで地続きで繋がる豊かな音楽の鉱脈、ソフトマシーンの世界へようこそ。と、いう事で。

ちなみにソフツの詳しい来歴などについては去年書いたモノがあるので興味がある方は良かったら読んでみて下さい。以下。

ん〜、こんなんでよろしかったでしょうか?私のソフツ愛が伝わったのであれば良いのですが。
という事で、次の書き手さんですが、いっつもコメントありがとうございますのid:Ry-orgyさんにパス・ダ・マイクしてみたいのですが引き受けていただけますでしょうか?いきなりでスイマセン。引き受けて頂けると、私は大変喜びます。

*1:現在入手可能なのは1stアルバムとのカップリングCDです