病気の記

私事ではございますが、先日会社の健康診断で肺と肺の間の縦隔という部分に腫瘍が見つかりました。具体的にいうと、みぎ後縦隔腫瘍です。専門の医者に見てもらうまでは人生のやり残しを考えるくらい、結構ショッキングだったんですが、結果的には造影CT画像の所見と、症例から90%以上は良性だろうとのこと(確定診断は腫瘍を取って生検しないと出せないそうですが)。つーわけでその辺の記録をここに書かしていただきます。(6月30日記)


6日間の入院で、みぎ後縦隔腫瘍を無事に摘出し、本日退院しました。(7月11日記)


■7月17日(金)
10時30分に外来受診。受診前にレントゲン撮影してから、診察室へ。腫瘍の生検の結果、所見通り背骨のまわりに沿って沢山ある神経のどれかから発生した腫瘍で、良性でした、とのこと。これで本当に安心できる。管が入っていた大きい傷口の抜糸。ここでも「痛いっすか?」と聞いてみるが、「まぁ大丈夫ですよ」と呆れ苦笑いの医者。話しながらハサミでパチパチとしてシュッと取ったら終了。引っ張られる感じはあるが、痛くはない。
これで病院は全て終了。まだ中は若干痛むが、時間とともに良くなっていくでしょう。


■7月11日(土)
9時に退院。


■7月10日(金)
もう治療はする事がないので、1日本を読んで過ごす。午前中で「変人 埴谷雄高の肖像」読了。もう1冊「狂気という隣人―精神科医の現場報告」という本を読むが、あまり面白くない。なるべく体を動かした方がよい、という担当医・看護士さんの指導を実践すべく、むやみに1Fの売店まで行って、いちごオレを飲んだり、お見舞いの人とかと歓談したりするデイルームという所で座って本を読んだりするが、病院内では行動にヴァリエーションが少な過ぎる。痛みは昨日よりもさらに良くなっている感じ。手術時に気管に管を挿入したからか、咳や血痰ずっと出ているが、咳をすると傷に響いて痛い。
消灯前に同室のおじいさんと初めて会話。肺ガンらしい。抗ガン剤治療中で8kgも痩せてやになっちゃうとか、こういう抗ガン剤打ってるっていう話、大洋ホエールズの選手が乗るバスの運転手をやっていた話など。「負けないで、頑張って絶対良くなってください」とエールを送る。


■7月9日(木)
食事も普通に取れているので、点滴を外すことに。また午前中の担当医の診察で背中の硬膜外麻酔も外すことに。昨日の管の抜去時のことを考え念のため「痛いですか?」と確認。「点滴みたいなものなんで痛くないです」とのこと。実際、いつ抜いたか分からないくらい、喋ってるウチに終了。これでオールフリーに。「もう退院できますけどどうします?」と言われ、ちょっとまだ痛みがあって日常生活に不安があるのでもう1日様子を見て、土曜日の午前中に退院することに。
この日からベッドを起こして、座って本が読める様になる。「変人 埴谷雄高の肖像」を読む。ワイフとお義母さんがお見舞いに来てくれる。
夜、恐る恐るシャワーを浴びてみる。


■7月8日(水)
6時起床。痛み止めを入れてもらう。一生懸命に体を起こして、飲水。朝食におかゆが出るが、食欲というより痛みが辛くて4口ほど食べて断念。9時くらいに担当医がやってくる。傷口にささってる管を抜く事に。助かった。どうやら傷口に糸で縫い付けてあるらしい。横向きに寝て、数回深呼吸して大きく吸って息をとめたタイミングで一気に引き抜く。ビュ!って。これが痛かった。ベッド脇の手すりをつかんでたんだけど、2段階にのけぞるくらい痛くて汗が吹き出る。鋭い痛みじゃないんだけど、神経をこすりあげられるような、なんとも言えない初めての痛さ。「痛いっすね」しか言えない。しかし抜いてしまうと昨夜からの痛みがウソのように楽になる。良かった。
続いて看護士さんがやってきて、懸案の尿道の管の抜去。再度「痛いですよね?」と意味の無い確認。「痛いですねー」と当然の返答。なるべく力を抜くようにイメージトレーニング重ねてきたので、その方向で試してみる。と、なんか引っ張り出される気持ちの悪さはあるものの、痛みはほとんど感じずに終了。「はれ?」と間の抜けた声をあげてしまう。まぁ、硬膜外麻酔が効いているからかも知れないけど、兎に角良かった。
それらを抜いてしまうと、点滴と背中の硬膜外麻酔のみになり、歩けるように。恐る恐る立ち上がってみると意外といけそうなので、歩いてレントゲンを撮りに向かう。
まだちょっと熱があるし、楽になったとはいえ、やはり傷口も痛むので、基本的には寝てすごすが、昼・夜ともにゴハンもそれなりに食べれる様になり、1日1日快復する人間の体のスゴさを実感。
眠る前にiPodで音楽を聴く元気も出てくる。消灯後の病床で聴く井上陽水がクソイルビートニック過ぎる。


■7月7日(火)
9時より手術。8時30分位より手術着に着替える。下着はT字帯というふんどし様のモノ、血栓(?)が出来るのを予防するためのキツいタイツみたいな靴下を履く。看護士さんが迎えに来てワイフと歩いて手術室に向かう。手術室前でワイフとはお別れ。入るとロビーみたいなところで手術室の看護士さんから確認事項を何点か。そこからさらに歩いて自分の手術室に向かう。あまりの非日常空間に緊張はこの辺がピーク。だだっ広い空間にベッドがぽつんとあり、そこに寝かされる。看護士が4人、麻酔医が2人、オペの先生が1人、を確認。主治医は最後に入るのか。すごい人数だ。
点滴の挿入、痛くない。まず背中の硬膜外麻酔管を入れるらしい。横向きにならされて、膝をかかえてお腹を見る様に丸まる。女性のサバサバした麻酔医。先に局所麻酔を注射。チクッとはするがそんなに痛くない。直径が5mm程の管を挿入。何かグーっと背中を押される様な変な感じはするが、痛くはない。終わって仰向けになると、管に血が引かれてきちゃうとの事で(端的にいうと失敗)、もう一回挿し直すことに。おい。「血管が多いので」とか言われてもオレはそんなこと知らない。もう一回同じ手順で挿管。さっきの局所麻酔薬が残ってるからか、さらに痛みはないが、麻酔医はオレの背中で「あれー?ちぇっ」みたいなコメントをはき続ける。若干不安になってきたので「大丈夫そうですか?」と振り返ってみると背中にひかれたタオルに血がたくさん。「おぅ」と思わずもらす。「この管が使えなくても、他の鎮痛方法もありますからー」とプロと思えぬ発言。ウケた。最終的には使える事になったので結果オーケーでした。
こんどは若い男の子がきて、仰向けになりマスクから酸素吸引。ちょっとひんやりして気持ちがいい。「点滴が入るとちょっと痛いかも知れませんけど、一瞬で眠っちゃうので」と言われる。点滴が入り始めても特になにも感じない。酸素を吸ってたマスクから明らかに甘くヤヴァい感じのガスが流れ出したなー、と思った瞬間落ちる。
一瞬の暗転。
頬を叩かれ、麻酔から覚める。「無事終わりましたからねー」と呼びかけられる。まだ手術室のようだ。朦朧としているが、気管に管が入ってる気がする。その管を抜かれて酸素マスクをつけられる。鼻で息をしようとしたら、両鼻がびっちりつまってて口でしか呼吸出来ない。「鼻ズマリがスゴいです」的なことをいうと笑われる。ウケ狙いではない。そのままベッドに移され病室へ。この辺もあやふや。ワイフに「大丈夫ー?」と問われ「だいじょばない」と返す。スゴく寒くなってガタガタ震え出したので電気毛布を入れてもらう。それが落ち着くと右肩の後ろ側、背中に鈍痛を感じる。点滴で痛み止めを入れてもらう。また熱が出ているみたいなので、氷枕を入れてもらう。この頃は麻酔も残っているからか、比較的楽に話したりしていたのだが数時間たって徐々に傷(右脇の下あたり)が痛み始める。あと寝ていてベッドに触れている両のかかと、腰が痛い。ワイフにかかとの下にタオルを敷いてもらう。
ワイフが帰る夜頃には、話すのもツライくらいに傷近辺が痛み出す。だんだんと痛みの箇所が分かって来て、看護士さんに聞いたら、どうも血などを抜くために傷口に留置されている管(直径3mmくらいのもの)が肺と肋骨の間を通っていて、それが動くと神経に触れるのか、何ともいえない響く様な痛みがあるようだ。これはかなり痛かった、ホントに。安定剤(入眠剤?)を入れてもらって、うっつらうっつらはするんだけど、夜中に見回りに来た看護士さんが、血を吸ってる管を動かすとピーンという痛みが走りそのまま脂汗たらしながら1時間くらい落ち着くまで動けなくなる。大きく息を吸っても痛いので息苦しさも若干。また自分が動いても痛むので、仰向けのまま、まんじりともせず、ウトウトしたり、起きたりを朝まで繰り返す。看護士さんに「朝になったら動かなきゃいけないと思うので、その時痛み止めを入れてください」とお願いする。


■7月6日(月)
10時30分入院。病棟に案内されてさっそく麻酔科を受診してください、とのこと。ぼそぼそ喋るやる気のなさそう(に見えちゃう)麻酔医に、こういう事故の可能性が無い訳ではないですよ、みたいな決まり事的な説明を受ける。点滴と肺に入れるガスによる全身麻酔と、術後の疼痛管理のため背中から管を入れる硬膜外麻酔という麻酔を使うそう。そのあと簡単に手術の注意。今日は21時以降は絶飲食。下剤飲むのかと思ってたらそれは無い模様。ヒゲを剃れと言われる。
病室に行って看護士さんの問診。一連の流れを紙を見せられながら説明を受ける。19歳の時に急性アル中で病院に運ばれて尿道に管をさすバルーンカテーテル(?)が痛くて泣いた記憶があり、全身麻酔だからきっとやられるだろうと思って入院前からタメ息の元だったのですが、どうやらやる様子。入れるのは麻酔時だから大丈夫だけど、翌日抜去とのことで「痛いっすよね?」と意味のない確認をすると、看護士のお姉ちゃんは「痛いですね〜」と当然の返答。
その後は特に何もなく、ゴハンを食べたり、シャワーを浴びたり、ワイフに励まされたり。22時には就寝したと思うが、慣れない病院の4人部屋のベッドで寝たりおきたり、熟睡できず。


■6月30日(火)
13時30分より造影CT検査。


■6月29日(月)
10時30分より再診。前回検査の結果、血液のコレステロールが若干高いといわれたものの(!)、特に問題ないようなので手術・入院の段取りをすることに。急なんだけど来週手術にキャンセルが出て、7月7日手術、前日入院、手術後3〜4日入院でいかがですか?と言われ、それでお願いしますということに。


■6月26日(金)
8時15分から受付ということで8時前から関東労災病院の初診受付に並ぶ。呼吸器外科に行く様に言われまして、と伝えたのに最初普通の呼吸器内科に通される。何か先生が頼りない。まず持参したCD-RのCT画像が開けないとのたまう(看護士さんがやったら途中で開けた)。「縦隔腫瘍はゆっくり進行するものだから、本当にあるかどうかも含めて、ウチでCT検査してもらいます。2〜3週間後になりますけど」と言われるけど、こっちゃ最高潮のテンションで早く対処しようと最速のルートでここまできてるし、写真も見てるんだからそれじゃ納得できないでしょ。途中から開いたCT画像を見て明らかに焦り出すし。あーこの先生じゃ、また違う病院探さなきゃなぁ、と思い始めた頃、試しに「呼吸器外科に行く様に言われたんですけど」って言ったら、どうもそれが伝わってなかったみたいで、「外科の先生に連絡するから外で待ってて」と言い出す。まぁ良かったか。
しばらく待って外科の先生の診察室に通される。専門だからか落ち着いた感じで淡々と説明を受ける。まず体を横から見て、前面にあるか、背面にあるかで、ひとつ判断がつくらしい。後縦隔腫瘍はほとんどの場合が良性で、かつCT画像からでも悪性の所見は認められないと言われ、ちょっと安心する。「90%以上の確率で良性でしょう」と。放っておいて1年づつ経過を観察していく人もいるし、手術するのも場所的に胸腔鏡を用いて呼吸器外科の分野では簡単な部類のもので、全身麻酔で2〜3時間の手術、術後3〜4日で退院できるので、どちらか選択して欲しいと言われるが、私の気持ちは最初から手術で決まっていました。「なる早でお願いします!」とガラにもなくグイグイいってみたら、7月中旬くらいには手術できるとのこと。今日は諸々検査して帰って、次回入院の手続きを進めましょう、ということになる。
どっちの先生にも、自覚症状はなかったのだが、腫瘍が見つかってから胸が苦しい気がする、と訴えると笑われたので、医者にも通じるギャグだということが判明。
そのあと、尿検査、血液検査、心電図検査、肺活量検査を受け、造影CT検査の予約を取って帰宅。



■6月23日(火)
午前中ワイフと一緒に代々木病院に行き、紹介状と胸部レントゲン/胸部造影CTのデータを受け取る。



■6月22日(月)
朝一番から代々木病院にて二次検査。内科の診察室に通され健康診断時のレントゲンを見せられる。右胸の真ん中よりのところに丸い玉みたいな影が写っている。造影CTでそれが肺の内側なのか外側なのか調べるとのこと。最初に肺活量の検査をして、採血してCTを撮る。造影剤は初めてで喉からお腹にかけてパーッと熱くなるのが面白い。特に副作用もなく終了。そのまま結果を聞きに診察室に戻る。CT画像にクソベーチャンを感じながら説明を聞く。肺と肺の間、右胸の縦隔の後ろ側、背骨に沿ったところに2cm大の腫瘍があるといわれる。腫瘍自体には様々なものがあるが、年齢的なことも考えると「むしろ良性である確率の方が高いのではないか」と先生の曰く。そう言われても「腫瘍」がショッキング過ぎてボーッとする。先生に心配されて、眠れるように安定剤みたいなのを処方される。画像だけでは確定診断はできず、かつ肺の外側なので、これ以降は呼吸器外科というのがある病院で検査、治療しなければならないとのこと。自宅近くの関東労災病院とかどうですかね?と尋ねると「良いんじゃないですか」とのことなので、紹介状を書いてもらい、翌日受け取りに来る事に。
会計を済ませて病院を出てワイフに電話。笑ってみせるしかない。その後会社に電話して善後を講じる。取りあえず出社して引き継ぎを簡単にして帰宅。
帰宅後、関東労災病院に電話して予約取れるかどうか聞いてみる。健康診断でなおかつ紹介状があれば予約なしで診てもらえるそうだが、呼吸器外科の先生が月・金しか出てないというので、次の金曜日に行く事にする。



■6月18日(木)
昼過ぎ会社に代々木病院から電話。胸部レントゲンで再検査をしてくださいとのこと。再検査は良くあることのようだけど、電話で連絡がきたので何となく勘で何かあるなと思って緊張する。



■6月9日(火)
午前中いっぱい代々木病院で健康診断を受ける。